書籍の内容

新たな越境現象から浮かび上がる国際問題の構造変化を、明晰なアプローチで解説した格好の新入門。移民や宗教、メディアやナショナリズムなど、国際社会の変化を照らす最新の情勢を解説、グローバリズムがもたらす国際社会の新たな可能性と緊張を描き出す。ベストセラー 『国際社会学』 の長所を受け継いだ、新しいスタンダード・テキスト。

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執筆者一覧

（執筆順）
小井土彰宏 （第1章）、樋口直人 （第2章）、吉野耕作 （第3章）、土佐弘之 （第4章）、加納弘勝 （第5章）、梶田孝道 （第6章）、五十嵐泰正 （第7章）、岩渕功一 （第8章）、稲葉奈々子 （第9章）、遠藤貢 （第10章）、竹沢泰子 （第11章）、加藤普章 （第12章）、渡邊日日 （第13章）、石井由香 （第14章）、金泰泳 （第15章）

書籍の目次

　　第Ⅰ部　国際社会学の基礎理論

第1章　国際移民の社会学
　　　　　はじめに
　　　　　1　近代史の中の国際移動 —— 歴史構造視角の提起したもの
　　　　　2　多元化する国際移民
　　　　　3　トランスナショナルな移民システムの展開とそのインパクト
　　　　　4　移民規制の強化とそのパラドクス
　　　　　おわりに

第2章　エスニシティの社会学
　　　　　はじめに —— 「エスニシティの復活」 のその後
　　　　　1　近代化とエスニシティ —— エスニック動員と境界の引きなおし
　　　　　2　モダニティの変容とエスニシティ —— 排除をめぐるポリティクス
　　　　　おわりに —— エスニック現象の社会学的理解のために

第3章　ネーションとナショナリズムの社会学
　　　　　はじめに
　　　　　1　社会変動論とナショナリズム
　　　　　2　カルチュラル・スタディーズと現代ナショナリズム
　　　　　3　ナショナリズムの実証的研究に向けて
　　　　　おわりに

第4章　ジェンダーと国際関係の社会学 —— マスキュリニティ （男らしさ） の再編
　　　　　はじめに
　　　　　1　国際関係論とジェンダー
　　　　　2　グローバリゼーションの深化とマスキュリニティの再編
　　　　　おわりに —— ジェンダーとポストコロニアリズム

第5章　宗教と国家の比較社会学
　　　　　はじめに
　　　　　1　アフリカ地域における文化中枢と 「相対的自律性」
　　　　　2　ラテンアメリカにおける宗教と社会
　　　　　おわりに

　　第Ⅱ部　国家を横断する主体と現実

第6章　EUにおける人の国際移動 —— 移民とイスラームを中心にして
　　　　　はじめに —— EU統合と国際移動
　　　　　1　EU内における国際労働移動の変質
　　　　　2　イスラームとEU
　　　　　3　2つの 「文化」 の交錯
　　　　　おわりに —— 新たな傾向と課題

第7章　グローバル化の諸力と都市空間の再編 —— グローバル都市・東京の 「下町」 から
　　　　　はじめに
　　　　　1　分極化するグローバル・シティ
　　　　　2　グローバル化の中のローカルな差異の復権
　　　　　3　「下町」 上野における現在の多様性と歴史的多層性
　　　　　おわりに

第8章　トランスナショナル・メディアの可能性 —— 越境するメディアと東アジアのつながり方
　　　　　はじめに
　　　　　1　脱中心化したメディア文化交通 —— 文化帝国主義からグローバル化へ
　　　　　2　メディア文化がもたらす東アジアのつながり
　　　　　3　「国・際」 文化交流の限界
　　　　　おわりに —— 境界を越えた対話に向けて

第9章　国境を越える社会運動
　　　　　はじめに —— 未来を予言する人々
　　　　　1　「なぜ」 国境を越える社会運動が生起したのか —— 運動のWHYとWHO
　　　　　2　「どうやって」 運動は広がっていったのか —— 運動のHOWとWHEN
　　　　　おわりに —— 「北」 と 「南」 のフレームのズレ

第10章　NGOとグローバル市民社会
　　　　　はじめに
　　　　　1　国際的なNGOのインフラストラクチュア
　　　　　2　国際的なNGOをめぐる概念化
　　　　　3　事 例 —— ジュビリー2000の経験から
　　　　　おわりに

　　第Ⅲ部　変貌する人種／民族／国家

第11章　アイデンティティ・ポリティクスのジレンマ —— アメリカ合衆国の現在
　　　　　はじめに
　　　　　1　再生産される集団アイデンティティ
　　　　　2　揺れるアファーマティブ・アクション —— アイデンティティ・ポリティクスのアリーナ
　　　　　3　「マルティレイシャル」 をめぐるポリティクス
　　　　　4　普遍主義かホワイト・アイデンティティ・ポリティクスか
　　　　　おわりに —— 21世紀のアイデンティティ・ポリティクス

第12章　多文化主義政策の現在 —— 多元国家カナダの変貌
　　　　　はじめに —— キーワードとしての 「多元国家」
　　　　　1　カナダの 「多元化」 プロセス
　　　　　2　多文化主義の政策と課題
　　　　　おわりに

第13章　社会主義後の多民族状況 —— ロシア連邦の行方
　　　　　はじめに —— ソヴィエト社会主義と民族
　　　　　1　ソヴィエト連邦の遺産相続としての連邦制
　　　　　2　ロシア人の移動
　　　　　3　タタールスタン
　　　　　4　中国人移民の増加と極東問題
　　　　　おわりに

第14章　経済発展とエスニック関係 —— 「脱・発展途上国」 マレーシアの事例
　　　　　はじめに —— アジア諸国における中間層の台頭とマレーシア
　　　　　1　マレーシアの経済発展と都市中間層の台頭
　　　　　2　中間層の拡大とエスニック関係
　　　　　3　市民社会的言論空間の形成とエスニック関係
　　　　　4　マレー人と非マレー人の 「対等性」 の認識
　　　　　おわりに —— 「脱・発展途上国」 戦略と多文化資源

第15章　在日韓国・朝鮮人の変貌 —— 日本社会と在日アイデンティティの現在
　　　　　はじめに
　　　　　1　「在日朝鮮人」 の生成とアイデンティティ・ポリティクス
　　　　　2　アイデンティティのジレンマと超克の試み
　　　　　3　在日韓国・朝鮮人の現在
　　　　　おわりに —— 在日のこれから

関連書籍の紹介

『移民受入の国際社会学』　小井土彰宏 編

『国際移民の時代』〔第4版〕　カースルズ、ミラー 著／関根政美・関根 薫 監訳

『英語化するアジア』　吉野耕作 著

『国家と移民』　田中恭子 著

『国際移動の歴史社会学』　重松伸司 著

『顔の見えない定住化』　梶田孝道・丹野清人・樋口直人 著

『ネイションとエスニシティ』　A.D. スミス 著／巣山靖司・高城和義 他訳