2024年度書評一覧

『都市問題』 [2024年7月号、第115巻第7号] から

在日フィリピン人社会
1980~2020年代の結婚移民と日系人

在日フィリピン人社会

高畑幸著『在日フィリピン人社会』が、『都市問題』(2024年7月号、第115巻第7号、後藤・安田記念東京都市研究所発行)で紹介されました。バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出します。

高畑 幸 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN978-4-8158-1153-2 C3036
在庫有り


『大原社会問題研究所雑誌』 [789号、2024年7月号] から(評者:木下順氏)

皇室財政の研究
もう一つの近代日本政治史

皇室財政の研究

加藤祐介著『皇室財政の研究』が、『大原社会問題研究所雑誌』(789号、2024年7月号、法政大学大原社会問題研究所発行)で紹介されました。ヴェールに覆われた皇室財政の姿を初めてトータルに解明。御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせる。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。

加藤祐介 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1126-6 C3021
在庫有り


『洛北史学』 [第26号、2024年] から(評者:岩本真利絵氏)

明代とは何か
「危機」の世界史と東アジア

明代とは何か

岡本隆司著『明代とは何か』が、『洛北史学』(第26号、2024年、洛北史学会発行)で紹介されました。現代中国の原型をかたちづくるとともに、東アジア史の転機ともなった明代。世界的危機の狭間で展開した財政経済や社会集団のありようを、室町期や大航海時代との連動もふまえて彩り豊かに描くとともに、民間から朝廷まで全体を貫く構造を鋭くとらえ、新たな時代像を提示します。

岡本隆司 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・324頁
ISBN978-4-8158-1086-3 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2024年7月6日号、第3646号] から(評者:矢野美沙子氏)

近世日琉関係の形成
附庸と異国のはざまで

近世日琉関係の形成

木土博成著『近世日琉関係の形成』が、『図書新聞』(2024年7月6日号、第3646号、武久出版発行)で紹介されました。近世日本の外部にして島津氏の「属国」—— 琉球王国の両義的地位はいかに確立したのか、幕府と琉球のチャネルたる薩摩を主軸として立体的かつ動態的に把握。琉球使節の実態や海禁・華夷秩序との関係に新たな光をあて、朝鮮との比較も視野に日琉関係の全体像を鮮やかに一新します。

木土博成 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・442頁
ISBN978-4-8158-1142-6 C3021
在庫有り


『中国研究月報』 [2024年5月号、第78巻第5号] から(評者:宮脇雄太氏)

愛国とボイコット
近代中国の地域的文脈と対日関係

愛国とボイコット

吉澤誠一郎著『愛国とボイコット』が、『中国研究月報』(2024年5月号、第78巻第5号、中国研究所発行)で紹介されました。中国ナショナリズムの実像 ——。時に暴力をともなう激しい対日ボイコットはなぜ繰り返されたのか。たんなる外交懸案の解決でも自国工業の振興でもない、それぞれの運動が生じた異なる地域事情と利害・思想を詳らかにするとともに、それらが愛国主義へとつながっていくメカニズムを捉えた力作。

吉澤誠一郎 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・314頁
ISBN978-4-8158-1048-1 C3022
在庫有り


「読売新聞」 [2024年6月23日付] から(評者:岡本隆司氏)

在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開

在来的発展と大都市

谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、「読売新聞」(2024年6月23日付)で紹介されました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。

谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1149-5 C3033
在庫有り


『図書新聞』 [2024年6月15日号、第3643号] から(評者:末永恵子氏)

健康朝鮮
植民地のなかの感染症・衛生・身体

健康朝鮮

林采成著『健康朝鮮』が、『図書新聞』(2024年6月15日号、第3643号、武久出版発行)で紹介されました。スペイン・インフルエンザのパンデミックを経験した植民地は、いかにしてその医療衛生システムを構築し、人々の健康を管理しようとしたのか。学校・工場・農村・軍・遊郭などの実態を、スポーツやレクリエーションも視野にトータルに解明、帝国下での医療の社会化の光と影をとらえた渾身の成果。

林 采成 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・564頁
ISBN978-4-8158-1144-0 C3022
在庫有り


「科学技術社会論学会ウェブサイト」 [2024年5月3日公開] から(評者:調麻佐志氏)

科学ジャーナルの成立

科学ジャーナルの成立

アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、科学技術社会論学会ウェブサイト(2024年5月3日公開)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。

アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
在庫有り


『週刊読書人』 [2024年6月7日号、第3542号] から(評者:鶴田想人氏)

科学ジャーナルの成立

科学ジャーナルの成立

アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、『週刊読書人』(2024年6月7日号、第3542号、読書人発行)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。

アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
在庫有り


『外交』 [第85号、2024年5・6月号] から

日本の国連外交
戦前から現代まで

日本の国連外交

潘亮著『日本の国連外交』が、『外交』(第85号、2024年5・6月号、外務省発行)で紹介されました。時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにします。

潘 亮 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・806頁
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
在庫有り


「読売新聞」 [2024年6月2日付] から(評者:遠藤乾氏)

日本の国連外交
戦前から現代まで

日本の国連外交

潘亮著『日本の国連外交』が、「読売新聞」(2024年6月2日付)で紹介されました。時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにします。

潘 亮 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・806頁
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
在庫有り


『アメリカ学会会報』 [第214号、2024年4月] から(評者:鈴木俊弘氏)

アメリカの人種主義
カテゴリー/アイデンティティの形成と転換

アメリカの人種主義

竹沢泰子著『アメリカの人種主義』が、『アメリカ学会会報』(第214号、2024年4月、アメリカ学会発行)で紹介されました。差別を生み出し続けたステレオタイプ、制度、学知などによる黒人、アメリカ先住民、アジア系移民の人種化の実態を鋭くとらえるとともに、排除に抗うアイデンティティ形成のジレンマもはじめて一貫して提示、アートを手がかりに、固定化された対立をほどく、第一人者による渾身の成果。

竹沢泰子 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・516頁
ISBN978-4-8158-1118-1 C3022
在庫有り


『年報近現代史研究』 [第16号、2024年5月] から(評者:原科颯氏)

皇室財政の研究
もう一つの近代日本政治史

皇室財政の研究

加藤祐介著『皇室財政の研究』が、『年報近現代史研究』(第16号、2024年5月、近現代史研究会発行)で紹介されました。ヴェールに覆われた皇室財政の姿を初めてトータルに解明。御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせます。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。

加藤祐介 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1126-6 C3021
在庫有り


『アジア研究』 [第70巻第2号、2024年4月] から(評者:任哲氏)

都市化の中国政治
土地取引の展開と多元化する社会

都市化の中国政治

鄭黄燕著『都市化の中国政治』が、『アジア研究』(第70巻第2号、2024年4月、アジア政経学会発行)で紹介されました。改革と開放後、独自の不動産市場の展開に伴い都市空間の急拡大をみた中国において、都市と農村で分断された従来の社会構造がいかに変容したのかを、徹底したフィールド調査で解明。土地収用による一方的収奪を超えた農村のしたたかな対応も捉え、今日に及ぶ政治経済の核心的問題に迫ります。

鄭 黄燕 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・268頁
ISBN978-4-8158-1133-4 C3031
在庫有り


「UTokyo BiblioPlaza」 [2024年5月31日公開、自著紹介] から

絵図の史学
「国土」・海洋認識と近世社会

絵図の史学

杉本史子著『絵図の史学』の自著紹介が、「UTokyo BiblioPlaza」(2024年5月31日公開、東京大学)に掲載されました。近世期、高度に成熟した表現を獲得した国絵図、鳥瞰図などの絵図の役割を、色彩・材料などのモノや、制作者や人々の想像力から新たに捉え、近代地図への発展史観が見落とした全体像を提示、海図など海洋の視点も導入して、近代移行期の社会空間をめぐる理解を書き換える、絵図研究の決定版。

杉本史子 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・440頁
ISBN978-4-8158-1062-7 C3021
在庫有り


『経済学論集』 [第84巻第1号、2024年3月] から(評者:伊藤正直氏)

戦前日本のユニバーサルバンク
財閥系銀行と金融市場

戦前日本のユニバーサルバンク

粕谷誠著『戦前日本のユニバーサルバンク』が、『経済学論集』(第84巻第1号、2024年3月、東京大学大学院経済学研究科発行)で紹介されました。証券市場が高度に発達した戦前日本において、三井、三菱、住友など財閥系銀行はいかにしてその隔絶した地位を築きえたのか。見過ごされてきた証券・国際業務を軸に、近世来の両替商がユニバーサルバンクへと発展する姿を鮮やかに示し、巨大銀行と金融市場の関係に新たな光を投げかけます。

粕谷 誠 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・390頁
ISBN978-4-8158-1004-7 C3033
在庫有り


『経営史学』 [第58巻第4号] から(評者:幸田亮一氏)

失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索

失業を埋めもどす

森宜人著『失業を埋めもどす』が、『経営史学』(第58巻第4号、経営史学会編)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。

森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2024年5月25日号、第3640号] から(評者:佐々木啓氏)

軍国の文化 上・下
日清戦争・ナショナリズム・地域社会

軍国の文化

羽賀祥二著『軍国の文化』が、『図書新聞』(2024年5月25日号、第3640号、武久出版発行)で紹介されました。近代初の本格的対外戦争は、いかなる制度と心性のもとに遂行され、戦いと病いによる膨大な犠牲を社会はどのように受容したのか。動員体制の確立から、戦闘と占領地統治の様相、葬送・記念や仏教教団の活動まであまねく探究、「大量死の時代」が生んだ戦争協同体の構造を解明します。

羽賀祥二 著
上 税込6,930円/本体6,300円
下 税込8,030円/本体7,300円
A5判・上製・上478頁+下640頁
ISBN 上:978-4-8158-1137-2 下:978-4-8158-1138-9
C3021
在庫有り


『週刊読書人』 [2024年5月10日号] から(評者:関智英氏)

ユーラシア東方の多極共存時代
大モンゴル以前

ユーラシア東方の多極共存時代

古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』が、『週刊読書人』(2024年5月10日号、読書人発行)で紹介されました。遊牧王朝と中国王朝、なぜ数百年間も併存できたのか ——。モンゴル帝国による統合以前のユーラシア東方では、複数の国家が並び立っていた。契丹(遼)と北宋の盟約による「澶淵体制」、さらには金(女真)の時代の国際関係に焦点を当て、考古資料も活用しつつ、外交・儀礼・信仰から歴史編纂まで東洋史・中国史像を刷新します。

古松崇志 著
税込14,300円/本体13,000円
A5判・上製・836頁
ISBN978-4-8158-1150-1 C3022
在庫有り


「読売新聞」 [2024年5月19日付] から(評者:苅部直氏)

近代チベット政治外交史
清朝崩壊にともなう政治的地位と境界

近代チベット政治外交史

小林亮介著『近代チベット政治外交史』が、「読売新聞」(2024年5月19日付)で紹介されました。仏教を介して中国と特別な関係を結び、広大な領域を治めたダライ・ラマ政権。東アジア国際秩序の構造転換を前に、彼らは勢力を維持すべくいかに行動したのか。そこで主張された「独立」「自治」の意味とは何か。現代に至るチベット問題の起源を、チベット語を中心とする貴重な一次史料にもとづき究明した画期的成果。

小林亮介 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・430頁
ISBN978-4-8158-1146-4 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2024年5月18日号、第3639号] から(評者:金原由紀子氏)

聖母の晩年
中世・ルネサンス期イタリアにおける図像の系譜

聖母の晩年

桑原夏子著『聖母の晩年』が、『図書新聞』(2024年5月18日号、第3639号、武久出版発行)で紹介されました。聖書には、彼女がどのように生を終えたかについての記述がない。しかし、マリア崇敬の高まりとともに、外典や伝承などにもとづき晩年伝の多様な図像が生み出されてきた。地中海圏の聖堂壁画からチマブーエやドゥッチョ、ジョットらの作品までをその背景とともに跡づけ、知られざる聖母の美術史をよみがえらせます。

桑原夏子 著
税込16,500円/本体15,000円
A5判・上製・904頁
ISBN978-4-8158-1141-9 C3071
在庫有り


「UTokyo BiblioPlaza」 [2024年5月14日公開、自著紹介] から

消え去る立法者
フランス啓蒙における政治と歴史

消え去る立法者

王寺賢太著『消え去る立法者』の自著紹介が、「UTokyo BiblioPlaza」(2024年5月14日公開、東京大学)に掲載されました。かつてこんなふうに読まれたことがあっただろうか ——。モンテスキューとルソー、そしてディドロへ。彼らが格闘し、解き明かし、残した問題とは何か。新たな共同体の創設という課題に直面し、法の根拠を問い直す重層的なテクストを読み抜き、「啓蒙」をクリシェから解き放った、気鋭の力作。

王寺賢太 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・532頁
ISBN978-4-8158-1120-4 C3010
在庫有り


『歴史評論』 [2024年5月号、第889号] から(評者:菅野智博氏)

「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える

「満洲国」以後

松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『歴史評論』(2024年5月号、第889号、歴史科学協議会発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。

松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
在庫有り


『教育と医学』 [2024年5・6月号、第72巻3号] から

学び・育ち・支えの心理学
これからの教育と社会のために

学び・育ち・支えの心理学

中谷素之・平石賢二・高井次郎編『学び・育ち・支えの心理学』が、『教育と医学』(2024年5・6月号、第72巻3号、教育と医学の会編)で紹介されました。予測困難な時代、激変する教育現場において、心理学にできることは何か。教職や公認心理師をめざす人に役立つベーシックな知識のみならず、マルチタスクや非認知能力、LGBTといった注目を集める最新のトピックも丁寧に解説、教育心理の根本が身につく充実のテキスト。

中谷素之・平石賢二・高井次郎 編
税込2,970円/本体2,700円
A5判・並製・304頁
ISBN978-4-8158-1151-8 C3037
在庫有り


『グローバル・ガバナンス』 [第10号、2024年3月] から(評者:山田哲也氏)

国際法を編む
国際連盟の法典化事業と日本

国際法を編む

高橋力也著『国際法を編む』が、『グローバル・ガバナンス』(第10号、2024年3月、グローバル・ガバナンス学会編)で紹介されました。大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直します。

“…… 本書は、膨大な先行研究と史資料の渉猟を踏まえつつ、史料の制約・限界にも細心の注意を払って抑制的に論じた …… 会議の議事の分析に加え、個人の会議場外での発言や伝記的エピソードも含まれた本書は、様々な読み方が可能であり、著者が目指した「学際的アプローチ」は成功している。…… 国際会議開催に際しての開催主体を巡る綱引き(補論3)や女性の国際会議参加(補論4)など、今日でも色褪せぬ重要な論点が扱われている。……”(p.127)

高橋力也 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・546頁
ISBN978-4-8158-1111-2 C3032
在庫有り


『日本文学』 [2024年4月号、第73巻第4号] から(評者:片岡美有季氏)

口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー

口述筆記する文学

田村美由紀著『口述筆記する文学』が、『日本文学』(2024年4月号、第73巻第4号、日本文学協会発行)で紹介されました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。

“…… これまで不可視化されてきた口述筆記者の存在や言説に焦点を当てることで、男性ジェンダーがヘゲモニーを握ってきた日本近代文学の制度性そのものを問い直し、近代的な「創造性神話」の解体を試みている ……”(p.99)

田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
在庫有り


『科学史研究』 [2024年4月号、第Ⅲ期第63巻] から(評者:由井秀樹氏)

ツベルクリン騒動
明治日本の医と情報

ツベルクリン騒動

月澤美代子著『ツベルクリン騒動』が、『科学史研究』(2024年4月号、第Ⅲ期第63巻、日本科学史学会発行)で紹介されました。欧米では「フィーバーからスキャンダルへ」と化した、コッホによる「結核新治療薬」。日本社会はそれをどのように受け止めたのか。多様な医療雑誌による「情報」の伝達・普及・切り分けを軸に、近代日本の医学・医療の風土が形成される転換期の実相を描き、今日への示唆に富む労作。

“…… 頁をめくってみると、緻密かつ厳密な記述でありながら、ミステリー小説さながらの論の展開、…… 緻密な記述に関しては、特に分析対象とした医療情報誌そのものの情報について、刊行年や発行部数のような基本的な情報のみならず、編集人の情報も含めた医療情報誌の性格も詳細に検討され、情報媒体間での伝えられる情報の違い —— とくに、どの媒体において何が語られなかったか、という点の検討 —— について丁寧に目配りがされており、研究の方法論としても大変勉強になった。……”(p.117)

月澤美代子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・504頁
ISBN978-4-8158-1101-3 C3021
在庫有り


『現代化学』 [2024年5月号、638号] から

準結晶の科学
構造と物性

準結晶の科学

佐藤憲昭・石政勉著『準結晶の科学』が、『現代化学』(2024年5月号、638号、東京化学同人発行)で紹介されました。周期的ではない規則性を持つ不思議な物質、準結晶。合金やセラミックス・高分子など多様な系で生じる、この物質の全体像を、構造解析や物性の基礎から、強相関電子系との関わりなど最新の成果まで、丁寧に解説。準周期的な構造が、磁性や超伝導などの物性とどう関係するのか?

佐藤憲昭・石政 勉 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1140-2 C3042
在庫有り


『史学雑誌』 [第133編第3号、2024年3月] から(評者:高橋典幸氏)

狩猟と権力
日本中世における野生の価値

狩猟と権力

中澤克昭著『狩猟と権力』が、『史学雑誌』(第133編第3号、2024年3月号、史学会発行)で紹介されました。日本の歴史において、狩猟はつねに権力と結びついていた。なぜ「野生のキャプチャー」がそれほど大きな政治性を帯びたのか。古代から近世まで、天皇・公家や武士たちが実践した鷹狩・巻狩などを通観し、殺生禁断や、暴力と儀礼をつなぐ広範な狩猟文化を探究する中から、列島の人間と動物の関係を問い直します。

“…… 近年、歴史学の分野でも人間と自然との関係に大きな関心が集まりつつある。人間にとって自然は脅威であるとともに、さまざまな恵みをもたらしてくれるものでもあった。狩猟はまさにそうした恵みを獲得する営みであるが、それは日々の生活の糧ばかりではなく、権力にとっては政治的な資源を手にすることをも意味した。本書はまさにその標題どおり、「狩猟と権力」の関係、権力にとっての「野生の価値」を追究した一書といえよう。”(p.88)

中澤克昭 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・484頁
ISBN978-4-8158-1106-8 C3021
在庫有り


「読売新聞」 [2024年4月21日付] から(評者:岡美穂子氏)

ユーラシア東方の多極共存時代
大モンゴル以前

ユーラシア東方の多極共存時代

古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』が、「読売新聞」(2024年4月21日付)で紹介されました。遊牧王朝と中国王朝、なぜ数百年間も併存できたのか ——。モンゴル帝国による統合以前のユーラシア東方では、複数の国家が並び立っていた。契丹(遼)と北宋の盟約による「澶淵体制」、さらには金(女真)の時代の国際関係に焦点を当て、考古資料も活用しつつ、外交・儀礼・信仰から歴史編纂まで東洋史・中国史像を刷新します。

古松崇志 著
税込14,300円/本体13,000円
A5判・上製・836頁
ISBN978-4-8158-1150-1 C3022
在庫有り


『現代史研究』 [第69号、2023年12月] から(評者:中野隆生氏)

失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索

失業を埋めもどす

森宜人著『失業を埋めもどす』が、『現代史研究』(第69号、2023年12月、現代史研究会発行)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。

森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
在庫有り


『現代史研究』 [第69号、2023年12月] から(評者:伊豆田俊輔氏)

ニュースピークからサイバースピークへ
ソ連における科学・政治・言語

ニュースピークからサイバースピークへ

スラーヴァ・ゲローヴィチ著『ニュースピークからサイバースピークへ』(大黒岳彦訳/金山浩司校閲・解説)が、『現代史研究』(第69号、2023年12月、現代史研究会発行)で紹介されました。統制的国家において、科学はいかにふるまうのか? 空疎なイデオロギー話法を乗り越える、厳密で普遍的な科学言語として期待されたサイバネティックス。この「自由の道具」が、数学・生物学・生理学・言語学などソ連科学界を席巻した末に、社会の科学的管理をめざして体制化していく道程をヴィヴィッドに描きだす。それは彼方の世界か、あるいは我らの鏡か?

スラーヴァ・ゲローヴィチ 著
大黒岳彦 訳/金山浩司 校閲・解説
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1115-0 C3022
在庫有り


『週刊エコノミスト』 [2024年4月16・23日合併号] から(評者:井上寿一氏)

日本の国連外交
戦前から現代まで

日本の国連外交

潘亮著『日本の国連外交』が、『週刊エコノミスト』(2024年4月16・23日合併号、毎日新聞出版発行)で紹介されました。時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにします。

潘 亮 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・806頁
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
在庫有り


『経済科学』 [第71巻第3・4号、2024年3月] から(評者:田中英明氏)

中央銀行はお金を創造できるか
信用システムの貨幣史

中央銀行はお金を創造できるか

金井雄一著『中央銀行はお金を創造できるか』が、『経済科学』(第71巻第3・4号、2024年3月、名古屋大学大学院経済学研究科発行)で紹介されました。社会に深く浸透している経済学の「常識」が、いかに貨幣の実態を捉えそこね、不合理な判断や施策を生み出してきたか、イギリス金融史の精緻な分析をもとに鋭く実証。近代的貨幣の生成プロセスを「信用」の次元から描き直すことで、MMT にもつながる素朴な認識を覆し、政策の指針を示します。

金井雄一 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・234頁
ISBN978-4-8158-1125-9 C3033
在庫有り


「朝日新聞」 [2024年4月6日付] から(評者:隠岐さや香氏)

科学ジャーナルの成立

科学ジャーナルの成立

アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、「朝日新聞」(2024年4月6日付)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。

アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
在庫有り


『アジア・アフリカ地域研究』 [第23-2号、2024年3月] から(評者:畔柳理氏)

グローバル開発史
もう一つの冷戦

グローバル開発史

サラ・ロレンツィーニ著『グローバル開発史』(三須拓也・山本健訳)が、『アジア・アフリカ地域研究』(第23-2号、2024年3月、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科発行)で紹介されました。開発はなぜ、いかにしてなされたのか。米・ソ・欧・中の対抗関係を軸にした実践と、国際機関や私的アクターの国境をこえた活動を描き出し、旧植民地・途上国との相克も視野に、20世紀初頭の「開発」の誕生から冷戦後までの、無数の思惑が交錯する複雑な歴史を初めてトータルに把握します。

サラ・ロレンツィーニ 著
三須拓也・山本 健 訳
税込3,740円/本体3,400円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-1090-0 C3022
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『アジア・アフリカ地域研究』 [第23-2号、2024年3月] から(評者:松井真子氏)

オスマン帝国の世界秩序と外交

オスマン帝国の世界秩序と外交

鈴木董著『オスマン帝国の世界秩序と外交』が、『アジア・アフリカ地域研究』(第23-2号、2024年3月、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科発行)で紹介されました。イスラム的世界帝国の理念・現実・変容 ——。ナショナルな主権国家とは異なる秩序観に基づき、多様な人々を包摂した大帝国。そのダイナミックな「国際」関係や対外交渉行動を描くとともに、近代の西欧国際体系との関係を、外交使節や公館、革命や大戦への対応などから論じた、碩学の労作。原初から終焉までの600年余を文明史的視角から一望します。

鈴木 董 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・324頁
ISBN978-4-8158-1117-4 C3022
在庫有り


『アジア経済』 [第65巻1号、2024年3月] から(評者:金子文夫氏)

「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える

「満洲国」以後

松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『アジア経済』(第65巻第1号、2024年3月、アジア経済研究所発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。

松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
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『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:服部茂幸氏)

中央銀行はお金を創造できるか
信用システムの貨幣史

中央銀行はお金を創造できるか

金井雄一著『中央銀行はお金を創造できるか』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。社会に深く浸透している経済学の「常識」が、いかに貨幣の実態を捉えそこね、不合理な判断や施策を生み出してきたか、イギリス金融史の精緻な分析をもとに鋭く実証。近代的貨幣の生成プロセスを「信用」の次元から描き直すことで、MMTにもつながる素朴な認識を覆し、政策の指針を示します。

金井雄一 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・234頁
ISBN978-4-8158-1125-9 C3033
在庫有り


『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:江頭進氏)

経済学のどこが問題なのか

経済学のどこが問題なのか

ロバート・スキデルスキー著/鍋島直樹訳『経済学のどこが問題なのか』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。モヤモヤしている人のために ——。「科学」の地位を得るために、経済学は様々な数学やモデルを使ってきた。しかし、それらは本当に有効なのか。現実から離れた想定によって視野を狭めているのではないか。スタンダードな経済学の考え方を再検討し、今後に向けての処方箋を提示する話題作。

ロバート・スキデルスキー 著/鍋島直樹 訳
税込3,960円/本体3,600円
A5判・上製・288頁
ISBN978-4-8158-1088-7 C3033
在庫有り


『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:寺尾範野氏)

社会をつくった経済学者たち
スウェーデン・モデルの構想から展開へ

社会をつくった経済学者たち

藤田菜々子著『社会をつくった経済学者たち』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。不況・戦争など直面する危機を乗り越え、福祉先進国の礎を築いた経済学者たち。ケンブリッジ学派と双璧をなしたスウェーデン経済学の全体像を、彼らの政治・世論との深いかかわりとともに初めて解明、福祉国家への合意を導いた決定的役割と、現代におけるその変容までを鮮やかに描き出します。

藤田菜々子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・438頁
ISBN978-4-8158-1097-9 C3033
在庫有り


『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:渡辺恵一氏)

野蛮と宗教Ⅱ
市民的統治の物語

野蛮と宗教Ⅱ

J・G・A・ポーコック著/田中秀夫訳『野蛮と宗教Ⅱ』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。西洋史の大きな物語 —— 古典古代の崩壊にともなう「野蛮と宗教」の時代から、洗練された習俗・商業・主権国家に基づく「ヨーロッパ」へ —— はいかにして形成されたのか。聖史を脱して博学と哲学を統合する多様な「啓蒙の語り」を読み解き、ギボンの知的文脈と独自性に迫るライフワーク。好評の第Ⅰ巻に続く、歴史叙述をめぐる思想史。

J・G・A・ポーコック 著/田中秀夫 訳
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1096-2 C3022
在庫有り


『昭和文学研究』 [第88集、2024年3月] から(評者:佐藤泉氏)

戦後表現
Japanese Literature after 1945

戦後表現

坪井秀人著『戦後表現』が、『昭和文学研究』(第88集、2024年3月、昭和文学会編)で紹介されました。アジア太平洋戦争から冷戦、昭和の終わり、湾岸・イラク戦争、ポスト3・11まで、戦争をめぐる言葉がすくい上げてきたもの、底に沈めてきたものを、詩・小説・批評を中心に精緻に読解。経験や記憶に刻まれた〈傷跡〉としての表現の重層性から、〈戦後〉概念を再審にかけます。

坪井秀人 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-1116-7 C3095
在庫有り


『西洋史学』 [第276号、2023年12月] から(評者:山中由里子氏)

ヨーロッパ中世の想像界

ヨーロッパ中世の想像界

池上俊一著『ヨーロッパ中世の想像界』が、『西洋史学』(第276号、2023年12月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界 ——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。

池上俊一 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・960頁
ISBN978-4-8158-0979-9 C3022
在庫有り


『社会経済史学』 [第89巻第4号、2024年2月] から(評者:水野敦洋氏)

輸出立国の時代
日本の軽機械工業とアメリカ市場

輸出立国の時代

沢井実著『輸出立国の時代』が、『社会経済史学』(第89巻第4号、2024年2月、社会経済史学会発行)で紹介されました。戦後日本の復興を支え、高度成長を生み出した対米輸出への道は、いかにして切り拓かれていったのか? 自動車・家電に先駆けてアメリカを席捲したカメラ、ミシンなど軽機械の動向を初めて包括的に解明、労働集約型産業の変貌を現場からとらえて、今日に及ぶ発展を鮮やかに描き出します。

沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・296頁
ISBN978-4-8158-1099-3 C3033
在庫有り


『社会経済史学』 [第89巻第4号、2024年2月] から(評者:加来祥男氏)

失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索

失業を埋めもどす

森宜人著『失業を埋めもどす』が、『社会経済史学』(第89巻第4号、2024年2月、社会経済史学会発行)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。

森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
在庫有り


『2023年人文地理学会大会 研究発表要旨』 [2023年11月] から(評者:原口剛氏、宮内洋平氏)

カースト再考
バングラデシュのヒンドゥーとムスリム

カースト再考

杉江あい著『カースト再考』が、『2023年人文地理学会大会 研究発表要旨』(2023年11月、人文地理学会発行)で紹介されました。宗教が異なれば社会のかたちも異なる、という図式は、本当に有効なのか。生活の場を介して、カーストを含む多様な集団が相互に交錯する過程を、宗教の別をこえてトータルに把握。物乞いや聖者など宗教横断的な主体も視野に、分裂した南アジア像が覆い隠してきたものをすくいだします。

杉江あい 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・426頁
ISBN978-4-8158-1112-9 C3022
在庫有り


『週刊読書人』 [2024年2月23日号、第3528号] から(評者:宮間純一氏)

維新の政治と明治天皇
岩倉・大久保・木戸の「公論」主義 1862~1871

維新の政治と明治天皇

伊藤之雄著『維新の政治と明治天皇』が、『週刊読書人』(2024年2月23日号、第3528号、読書人発行)で紹介されました。国家の危機を前に、幕末・維新のリーダーたちはいかにして政治的意思決定を行ったのか。そのとき天皇のあり方はどのように変化したのか。岩倉具視・大久保利通・木戸孝允らによる「公論」主義を軸に、倒幕から廃藩までの激動の過程を一貫した視座のもとでとらえ、新たな明治維新像を示す渾身作。

伊藤之雄 著
税込10,780円/本体9,800円
A5判・上製・834頁
ISBN978-4-8158-1139-6 C3021
在庫有り

年度別書評一覧

近刊案内

2024年7月30日出来予定

古代ギリシアの宗教

ロバート・パーカー 著
栗原麻子 監訳/竹内一博・佐藤 昇・齋藤貴弘 訳
A5判・上製・448頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1164-8
Cコード 3022

2024年8月29日出来予定

中国革命の方法

三品英憲 著
A5判・上製・544頁
税込8,800円/本体8,000円
ISBN 978-4-8158-1167-9
Cコード 3031

近刊書籍のご注文を受け付けております。ご希望の方は、上の「注文フォーム」で手続きをお願いいたします。刊行次第、商品を発送いたします。

重版案内

2024年7月20日頃出来予定

ジョン・ダン全詩集[新装版]

湯浅信之 訳
A5判・上製・734頁
税込11,000円/本体10,000円
ISBN 978-4-8158-1161-7
Cコード 0098

2024年7月20日頃出来予定

レオパルディ カンティ[新装版]

ジャコモ・レオパルディ 著
脇 功・柱本元彦 訳
A5判・上製・628頁
税込9,900円/本体9,000円
ISBN 978-4-8158-1162-4
Cコード 0098

2024年7月20日頃出来予定

ペトラルカ 凱旋[新装版]

フランチェスコ・ペトラルカ 著
池田 廉 訳
A5判・上製・344頁
税込6,600円/本体6,000円
ISBN 978-4-8158-1163-1
Cコード 0098

2024年6月11日出来

男同士の絆(第8刷)

イヴ・K・セジウィック 著
上原早苗・亀澤美由紀 訳
A5判・上製・394頁
税込4,180円/本体3,800円
ISBN 978-4-8158-0400-8
Cコード 3098

2024年6月10日出来

超伝導接合の物理(第2刷)

田仲由喜夫 著
A5判・上製・356頁
税込6,380円/本体5,800円
ISBN 978-4-8158-1028-3
Cコード 3042

2024年5月27日出来

今夜ヴァンパイアになる前に(第2刷)

L.A. ポール 著
奥田太郎・薄井尚樹 訳
A5判・上製・236頁
税込4,180円/本体3,800円
ISBN 978-4-8158-0873-0
Cコード 3010

2024年5月15日出来

社会科学の考え方(第8刷)

野村 康 著
A5判・上製・358頁
税込3,960円/本体3,600円
ISBN 978-4-8158-0876-1
Cコード 3030

2024年4月30日出来

博士号のとり方[第6版](第4刷)

E・M・フィリップス/D・S・ピュー 著
角谷快彦 訳
A5判・並製・362頁
税込2,970円/本体2,700円
ISBN 978-4-8158-0923-2
Cコード 1037

2024年4月1日出来

教育原理を組みなおす(第2刷)

松下晴彦・伊藤彰浩・服部美奈 編
A5判・並製・336頁
税込2,970円/本体2,700円
ISBN 978-4-8158-1045-0
Cコード 3037

2024年4月1日出来

現代アート入門(第2刷)

デイヴィッド・コッティントン 著/松井裕美 訳
四六判・並製・224頁
税込2,970円/本体2,700円
ISBN 978-4-8158-1009-2
Cコード 3070

2024年4月1日出来

科学技術をよく考える(第6刷)

伊勢田哲治・戸田山和久・調 麻佐志・村上祐子 編
A5判・並製・306頁
税込3,080円/本体2,800円
ISBN 978-4-8158-0728-3
Cコード 3040

2024年1月19日出来

アメリカの人種主義(第2刷)

竹沢泰子 著
A5判・上製・516頁
税込4,950円/本体4,500円
ISBN 978-4-8158-1118-1
Cコード 3022

2023年12月22日出来

進化倫理学入門(第2刷)

スコット・ジェイムズ 著
児玉 聡 訳
A5判・上製・336頁
税込4,950円/本体4,500円
ISBN 978-4-8158-0896-9
Cコード 3012

2023年11月30日出来

派閥の中国政治(第2刷)

李 昊 著
A5判・上製・396頁
税込6,380円/本体5,800円
ISBN 978-4-8158-1131-0
Cコード 3031

2023年11月17日出来

消え去る立法者(第3刷)

王寺賢太 著
A5判・上製・532頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1120-4
Cコード 3010

2023年10月27日出来

統計学を哲学する(第5刷)

大塚 淳 著
A5判・並製・248頁
税込3,520円/本体3,200円
ISBN 978-4-8158-1003-0
Cコード 3010

2023年10月23日出来

質的研究の考え方(第7刷)

大谷 尚 著
菊判・並製・416頁
税込3,850円/本体3,500円
ISBN 978-4-8158-0944-7
Cコード 3036

2023年8月28日出来

対華二十一ヵ条要求とは何だったのか(第4刷)

奈良岡聰智 著
A5判・上製・488頁
税込6,050円/本体5,500円
ISBN 978-4-8158-0805-1
Cコード 3021

2023年8月24日出来

世界史のなかの東南アジア【上巻】(第2刷)

アンソニー・リード 著
太田 淳・長田紀之 監訳
A5判・上製・398頁
税込3,960円/本体3,600円
ISBN 978-4-8158-1051-1
Cコード 3022

2023年8月21日出来

客観性(第4刷)

ロレイン・ダストン/ピーター・ギャリソン 著
瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪 訳
A5判・上製・448頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1033-7
Cコード 3010

2023年8月10日出来

宇宙機の熱設計(第3刷)

大西 晃 他編
B5判・上製・332頁
税込19,800円/本体18,000円
ISBN 978-4-8158-1042-9
Cコード 3053

2023年7月28日出来

中央銀行はお金を創造できるか(第2刷)

金井雄一 著
A5判・上製・234頁
税込5,940円/本体5,400円
ISBN 978-4-8158-1125-9
Cコード 3033

2023年6月21日出来

キュビスム芸術史(第2刷)

松井裕美 著
A5判・上製・692頁
税込7,480円/本体6,800円
ISBN 978-4-8158-0937-9
Cコード 3071

2023年6月15日出来

科学アカデミーと「有用な科学」(第3刷)

隠岐さや香 著
A5判・上製・528頁
税込8,140円/本体7,400円
ISBN 978-4-8158-0661-3
Cコード 3040

2023年5月25日出来

統計力学の形成(第3刷)

稲葉 肇 著
A5判・上製・378頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1036-8
Cコード 3040

2023年5月24日出来

明代とは何か(第2刷)

岡本隆司 著
A5判・上製・324頁
税込4,950円/本体4,500円
ISBN 978-4-8158-1086-3
Cコード 3022

2023年5月12日出来

消え去る立法者(第2刷)

王寺賢太 著
A5判・上製・532頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1120-4
Cコード 3010

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